現在の寿司の原型ともいわれる「ふなずし」。現存する最古の寿司ともいわれています。琵琶湖の天然ニゴロブナを1匹ずつ丁寧に洗って塩漬けし、炊いたご飯と一緒に漬けて自然発酵させた「なれずし」の一種です。
ふなずしの歴史は奈良時代までさかのぼるとされ、当時の木簡において「鮒鮨」「鮨鮒」といった記述があります。
また、平安時代の法典「延喜式」によると、近江国から朝廷へ「鮨鮒」が貢納されていました。神饌として奉納され、古くからおもてなしの一品として、滋賀県で親しまれてきた郷土食です。
湖国名物「ふなずし」は、知る人ぞ知る近江の国の最高級珍味です。
ふなずしはふなを塩漬けからご飯による本漬けを経て、自然発酵し熟成させたもので、独特の香りと発酵による酸味が生まれています。その旨さは「やみつきになる味」と称される珍味中の珍味です。
琵琶湖の固有種であるニゴロブナは、ふなずしに最も適しています。特に産卵期を迎える3月ごろのメスがおいしいと言われています。
川魚は傷みが早いため、新鮮なフナを新鮮なうちに処理することが大切です。
春先の、まだ水が冷たいなか、ニゴロブナを1匹ずつ丁寧に手洗いし、身を傷つけないように壺抜き(内臓を抜く)し、塩に漬け込みます。
さらに、塩漬けした鮒をまた丁寧に洗い、ふっくら炊いた近江米とともに漬ける。
漬け石がグラリと動くほど、発酵するふなずしを「子守り」をするように見守り、熟成を待ちます。
ただただ、丁寧に。
先人に思いを寄せながら、至誠庵では、昔ながらの製法を守り、湖国の名品「ふなずし」を作り続けています。
ふなずしの作り方に関する掲載内容は現在準備中です。